AIの基本概念とビジネスメリット 現在と未来の展望
AIの基本概念とメリット
現在隆盛を誇っているAIとは、人間の知能を模倣するコンピュータシステムのことです。
AIは、機械学習やディープラーニングなどの技術を用いて、データから学習し、判断や予測を行うことができます。
AIで得意なのが分類や判別です。例えば、写真に何が写っているのかの判定や良品・不良品判定などを瞬時に行なうことができます。また、生成AIとも呼ばれる画像を生成したり、文章を生成したり、人とのチャットを通じて解答を出すなども最近のAIでは可能になっています。特にChatGPTに代表されるチャットを通じて何らかの答えを得るAIが非常に良く使われています。
AIを利用する目的はさまざまありますが、一番のメリットは効率的になる、という点でしょう。例えば、知らない事柄について調査するときに、これまでならGoogleなどで検索した上で、該当しそうな記事を探してそれを読んで判断する必要がありました。しかし、ChatGPTなどに尋ねれば、ほぼ一瞬で答えを得ることが可能ですし、ある程度まとまった答えを得ることができます。
文章を作成するときにも、箇条書きで書きたい内容を与えれば、残りの文章を自動的に作成してくれますし、チャットを通じて書いて欲しい内容を与えて書いて貰うこともできます。複数のファイルを与えて、統計的な分析をして貰うことも可能です。これまでなら、自分で考えた上で、仮説を検証するためにさまざまな手段を取る必要がありましたが、これらを自動的に簡単な指示だけで行なってくれるのは大きな革新でしょう。
AIの種類と活用方法
AIには、大きく分けて以下の3つの種類があります。
- 弱いAI:特定のタスクに特化したAIで、人間の知能を超えることはできません。例えば、音声認識や画像認識などのAIがこれにあたります。
- 強いAI:人間と同等の知能を持ち、様々なタスクに対応できるAIです。現在はまだ実現されていないとされていますが、将来的には可能になると考えられています。
- 超AI:人間を超える知能を持ち、人間では理解できないような判断や行動をするAIです。現在はまだ想像の域を出ませんが、将来的には危険な存在になる可能性もあります。
現在のところ精度が良く比較的高速に動作するのは弱いAIと呼ばれる、特定分野に特化したAIです。写真の内容を判定する場合などに使われています。弱いAIでもどの程度判定が必要なのかにもよって、速度や精度が異なってきます。例えば、「犬」と判定すれば良いのか、「シベリアンハスキー」のように犬種まで判別したいのかによってもAIの作りが変わってきます。当然、後者の方が作成するのは煩雑になります。
強いAIはChatGPTで実現されたのでは?と言われることもありますが、明確な線引きがあるわけでは無いため、議論の分かれるところです。ChatGPTがより高速に精度が向上すれば、最初の強いAIとして認識される可能性は高いと考えます。
超AIは現時点では存在しないとされていますが、世界の科学者や有識者によって登場を危惧されている存在です。人間を超越するため、どのような行動を取るのか想像できないところに問題があります。AIの難しいところは、判断基準が分からない、というところにあります。なぜAIがこのような判断をしたのか?ということを説明する方法が無く、またAIがなぜそのような判断をするのかということも分かりません。最近では、根拠となる情報源を示してくれるAIもありますが、根拠から結論に至る過程についてはAI自身も説明できないため、人が過程を把握し制御することは極めて難しいとされます。
AIは判断過程が分からないという点を除けば、高速に精度良く判断してくれるため、ビジネスに役立つことは間違いありません。ビジネスでAIを活用する方法は、AIの種類や目的によって異なりますが、一般的には以下のような方法があります。
- AIを使った製品やサービスの開発:AIを使って、新しい価値や機能を提供する製品やサービスを開発することができます。例えば、AIを使った音声アシスタントや自動運転などがこれにあたります。
- AIを使ったビジネスプロセスの改善:AIを使って、ビジネスプロセスを効率化や最適化することができます。例えば、AIを使った在庫管理や需要予測などがこれにあたります。
- AIを使ったデータ分析や意思決定の支援:AIを使って、ビジネスに関するデータを分析し、意思決定に役立つインサイトを提供することができます。例えば、AIを使った顧客分析や市場分析などがこれにあたります。
AIをWebシステムに組み込んで活用することも考えられます。顧客のWebサイト内における行動を元にしたレコメンドシステムやヘルプシステムの高精度化などは比較的AIによる改善がしやすいところでしょう。
Webではできるだけ人を介さないようにすることで、効率的な業務が行えます。当然それにはお問い合わせのような作業も含まれます。現状では、お問い合わせに対しては、送られてきたお問い合わせ内容を人が判断し、調査し、回答するという比較的煩雑な作業を行なう必要があります。この部分をAIで対応させれば、効率的な対応が可能です。24時間動作させることが可能ですから、人が介在することなくいつでも顧客からの問い合わせに対して対応することができます。
商品を提案するレコメンドシステムもこれまでの単純な購買傾向に基づくだけでなく、季節やその日の気温、ニュースで取り上げられたものなどさまざまな情報を用いて提案することができるようになります。場合によっては、セットで使うとより便利になるような商品などはセットにしてオススメする、といったことも可能でしょう。
AI導入のステップ
AIをビジネスに導入する際には、以下のようなステップを踏むことが望ましいです。
まずAIを導入する目的や目標を明確にすることが重要です。AIは万能ではないので、どのような課題を解決したいのか、どのような効果を期待するのかを明確にする必要があります。現状では全てのプロセスをAIが担うことはできないため、どの点をAIに担わせるのか、逆に担わせてはいけない部分はどこか、を明確にする必要があります。また、100%正確な答えを返さない点にも注意が必要です。AIが担当する部分を狭めることで、ある程度高い精度を出すことは可能ですが、それでも100%の精度を出すことは不可能です。どこまでの間違えを許容するか、許容できるかを考慮する必要があります。
次にデータの収集と整理が必要です。AIはデータに基づいて学習するので、データの質や量がAIの性能に大きく影響します。AIに適したデータを収集し、整理することが必要です。AIの場合、膨大なデータを与えて学習させることで精度が出てきます。膨大なデータを確保する、というのも1つの障壁となることが多いです。
続いてどういうAIを使うのか、選択する必要があります。AIには様々な種類や技術がありますが、目的やデータに合わせて最適なAIを選択することが必要です。また、AIを自社で開発する場合は、専門的な知識やスキルが必要です。外部のベンダーやパートナーと協力する場合は、信頼性やコストなどを考慮する必要があります。
現在では、ChatGPTなどの既存のAIと組み合わせ、汎用的な部分はChatGPTなどの知識に依存し、それ以外の知識は別途与えることで、必要な回答を得られるようにする方法もあります。
1から生成AIを作成するには膨大なデータ処理とそれに伴う時間が掛かり、現在ではあまり現実的ではありません。ある程度完成されているAIモデル(生成AIの核となる部分)を利用しつつ、独自のデータを追加して追加学習させるなどが現実的でしょう。
AIを導入するときには、慎重にテストや検証を行うことが必要です。AIは予期せぬエラーやバイアスを生じる可能性があるので、安全性や倫理性などを確認する必要があります。また、AIの効果やパフォーマンスを定期的に評価し、改善する必要があります。AIは学習を行なわせれば行なわせるほど精度が上がるというわけでも無く、過学習という状況に陥って精度が下がることもあります。また、ユーザーが実際に利用していて、満足できるような精度が得られているかどうかを常に把握し、必要に応じて調整をするなどの作業が必要です。
運用コストも考慮する必要があります。ChatGPTなどの外部AIを利用する場合はAPIの利用料が掛かりますし、内部でAIを運用すると実用的な速度で動かすためにはCPU以外にGPUのような並列処理が得意な演算装置が必要です。精度を高くすれば、また計算に時間が掛かるようになります。
クラウドサービスなどでもGPUが利用できるプランがあったりされていますが、AIから回答を得るための演算部分のコストが比較的高額になります。どのAIを使うかによっても計算時間が異なってくるため、AIを選択するときにコストパフォーマンスも考慮することが重要なポイントになります。
成功のためのコツ
AIビジネスで成功するためには、いくつかのコツがあるでしょう。まず、重要な点はユーザーのニーズを理解することです。ユーザーのニーズを理解し、AIを使ってそれに応えることができるかどうかを考える必要があります。いくらAIを導入してもユーザーにとって役に立たない、またはAIを使っているという標榜をしているだけでは意味がありません。実際にユーザーが使って、価値が実感できるようなところに投入するべきです。
次にイノベーションを追求することでしょう。AIは、進化や競争が激しい分野です。1つのAI技術がでてきたと思ったら、次のAI技術が直ぐに出てくるという状況が繰り返されていますし、昨日まで常識的だったことが今日では変わっているということもあります。
他社と差別化するためには、自社しか提供できない、または自社しか所有していないデータを活用して、革新的な価値やサービスを提供することが必要です。常に最新の技術やトレンドにアンテナを張り、自社の業務フローや付加価値増大に役立つようなものは無いか、視点を巡らせて試していくことが重要です。
AIビジネスの未来展望
AIは、今後もますます発展すると予想されます。速度や精度の向上だけでなく、もっと身近な生活にも入って行くことが想定できます。
AIは、ビジネスにおいて様々な分野や業界に応用され、新たな価値やサービスを生み出す可能性があります。しかし、AIビジネスには、技術的な課題だけでなく、社会的な課題もあります。AIによりビジネスが効率的になれば、これまで人が担っていた部分がAIに代替されることも多いでしょう。実際IBM社では2023年に7,800名の社員をAIに代替して解雇する可能性があることを発表しています。
AIは効率的にタスクを進める手助けにはなりますが、AIが誤った判断をしたときに、誰が責任を取るのかなどは明確にされていません。
AIは、人間の仕事や生活に影響を与えることがあります。影響の度合いが拡がれば、AIを使っている企業、使おうとしている企業に対して政府などから何らかの制限が入ってくることも考えられます。
社会的な総合判断にも基づいてくる部分が多分にありますが、AIを導入する場合はメリット、デメリットを充分に検討した上で、適切なフローを構築した上で利用することが重要になってくるでしょう。
AIによるビジネスに興味がある場合
弊社株式会社コムセントでは、AIを使ったフローの改善にも対応致します。さまざまなAIモデルから最適なものを選択する、AIモデルに独自データを組み合わせて自社向けのAIモデルとして機能させる、画像生成AIを利用するための方法や最適なプロンプトなど、小規模なものから対応致します。最新動向を常に把握しており、そのときに合わせたご提案が可能です。コストに応じたAIの活用提案なども可能ですので、ご興味がありましたらお気軽にお尋ねください。
CTO/sekiguchi