「狭く、深く」のターゲット設定のススメ~届けたい範囲を絞って特別感を与える~

この記事は2025/10/01に作成されました。
この記事の目次
はじめに:万人受け存在しない説
仕事しているとたまに見かける言葉があります。
「万人受けするデザインが良い」
「万人が感動するサービスを提供したい」
「万人に認められる人になりたい」
なんと愚かな。正直私は万人受けなんぞ、言葉だけでしか存在しないものだと思ってます。 (さすがに大口叩きすぎですかね)
けれども、万人に受け入れられている存在はこの世にまったくゼロって訳ではないですよね。 某ファミレスチェーンや某テーマパーク、某100円ショップとか。
ただし、最終的に万人に受け入れられているイメージのあるものって、大抵は初めから万人受けを狙っていないものがほとんどです。
長い時間を経てようやく万人に受け入れられるものへと成長している場合が多いのではないでしょうか。
そういうことから、真の意味で「万人受け」って存在しないんじゃない?とここ最近夕方の散歩をしてて思ったので、脳内整理も兼ねて考えをまとめていこうと思います。
「万人受け」の正体
結論から言うと、万人受けの「万人」とは、「言語化・可視化できていないターゲット」なのではと考えています。
「万人」という言葉の意味を調べると、「すべての人、非常に多くの人々」という解説が出てきます。
つまり、「万人受け=とにかく多くの人が認めるもの」という式が成り立つのですが、残念ながらそれ以上の情報は含まれていないのです。
「万人受け」というと、聞こえは非常に良く優れているように思えますが、実際はデメリットの方が確実に大きいと思います。
万人受けの最大のデメリット、それは「結局それって誰のためのものなの?」という印象を持たれる可能性が非常に大きいということです。
自分でも説明しにくく、他人にも理解されづらくなるのです。
たとえば、自分が飲食店を開こうと思ったとき、どんなお店にしたいと思いますか?
「万人受けする飲食店を開きたい!」と宣言したとして、提供する料理やお店のスタイルは何にしましょうか。 万人受けを狙うならやはり世界各国の老若男女に愛され、宗教も当然考慮、文化背景も考えて床に座って食事できるスペースも作り、単品もコースもビュッフェも、モーニングランチディナーなんでも毎日24時間やります...?
現実的にそんなことできますかね。いや無理でしょう。
「万人受け」という言葉は全てを包括してしまうわけです。大袈裟ではなく。
飲食店で言えば、誰のための飲食店なのかがわからないと、提供する料理は当然決まりません。 料理が決まらないと、どんな食材を入荷すべきか、どんな食器を揃えるか、座席の形態はどうすべきか等も何も決まりません。
これでは一向に飲食店のオープン計画は進めるどころか、立てられもしないですよね。
何かを始めるにはターゲット設定が必須
じゃあ、計画を立てるにはどうしたら良いか?簡単です。ターゲットを決めましょう。
いやいや、万人受けレストランにしたいんですけど!と思ったそこのあなた。
あなたの想像するお客さんについて教えてください。
男性ですか?女性ですか?子どもやお年寄りは含まれますか?日本人ですか?外国人ですか?日本人ならどこの地域の人に来てほしいですか?その人には毎日来てほしいですか?特別な日に来てほしいですか?...などなど
恐らく曖昧であっても、いくつかは答えられるのではないでしょうか。
答えられる範囲で構いません。答えたものを繋ぎ合わせたものが、最終的にあなたがオープンしたい飲食店のお客さん像、つまりターゲットになります。
ターゲットを決めたら、その先の計画を立てることが非常に簡単になります。
たとえば、日本人の家族に頻繁に来てほしいと思うのであれば、毎日違う料理を食べられるよう、日本人になじみ深いメニューを沢山の種類用意するファミリーレストランにしようという方向性を決められるわけです。
キーワードを追加して「狭く、深く」絞り込む
では、自分で想像できればどんなターゲットでも良いかと言われると、それはやや早計かと思います。
たとえば先程の「頻繁に外食する日本人家族」がターゲットだとして、提供する料理の方向性は決まりましたが、これだけでは他のお店との差別化が難しいです。
そこで、ターゲットにひとつだけキーワードを加えてみましょう。少しだけ、「狭く、深く」ターゲットを絞り込むのです。そうすると、お店の差別化ポイントの候補が見えてきます。
- 「週末に」頻繁に外食する日本人家族:混みやすい週末の混雑にも強い座席が多いレストラン
- 頻繁に「遠出して」外食する日本人家族:口コミ投稿やSNS映えなどを狙った味も見た目にもこだわるレストラン
- 頻繁に外食する「健康志向の」日本人家族:野菜を多く取り入れた和食メニュー多めのレストラン
差別化のポイントを明確にしておくと、「これは私のためにあるに違いない」という印象を与えやすくなり、 結果的にターゲットへのアプローチを容易にすることができます。
「狭く、深く」ターゲットを考えるメリットは他にもあります。
深く考えたり手をかけるべきポイントを絞ることができ、より品質の高いモノやサービスをスムーズに提供しやすくなります。
たとえば、先ほど挙げたターゲット例「頻繁に外食する健康志向の日本人家族」であれば、大量の野菜を安く仕入れできる業者が探せれば、他の食材は多少値が張っても問題ない等の妥協ポイントを見つけやすくなります。
その分、浮いた時間を使って他の事を考えることができるようになります。
まとめ:万人に愛されたくば、まずはターゲットに愛されよう
本来ターゲットというのは「狭く、深く」あればあるほど、ターゲットに効果的にアプローチしやすくなるものです。万人に届けたい気持ちもわかりますが、成功をしたいのであればできるだけ絞り込むべきでしょう。
今では万人に愛される存在も、当初はきちんとターゲットを設定しています。
きちんと設定していたからこそ、はじめに想定していたターゲットに受け入れられ、次第にターゲットからその家族や友人、その知り合い、またその知り合いに...というように評判が広まり、世間に浸透していったのです。
千里の道も一歩からというように、最初は届けたい人にきちんと届くように物事を設計していきたいものですね。
デザイナー / S.O
Webデザインを中心に、業務管理画面やスマホアプリ等のUI/UXデザイン、チラシ・パンフレット、名刺やロゴといったグラフィックデザイン等、デザイン業務を総合して担当。 主な使用ツールは、Adobe製品、Figma等。